最近、患者様で風邪をひかれて処方箋持ってくる方が結構多くなってきましてまたこの時期がやってきたのかと思う今日この頃です。そこでちょっと疑問に思うことがありまして。それは、ただの風邪の人に抗生剤(抗菌薬)が出ている方があまりにも多いこと。なぜ大した所見もないうえに検査もしてないのに抗生剤なのか?と思いまして書いてみます。まず一般的に言われている風邪とは
【かぜ症候群】
鼻腔から咽頭までの上気道の非特異的カタル性症候群。もっとも頻度の高い呼吸器感染症。原因はウイルス感染が最も多く90 %近くを占めています。一部にマイコプラズマ、クラミジア、細菌の感染があるようです。
(症状)
鼻汁、咽頭痛、咳、発熱などの症状が少なくとも1週間以内に自然治癒するもの。
発熱は3日以上続くことはまれで。
上記のように風邪の原因の90%はウイルスです。ですので細菌に効果を発揮する抗生剤(抗菌薬)はウイルス性の風邪には意味ありません。ウイルスと細菌は大きさ、形も全然違い、まったく違うものです。抗生剤は必要なく解熱剤や咳止め薬、鼻汁を減らす薬、いわゆる対症療法だけで充分です。ごく一部の方に細菌性の感染症がありますが、そういう場合、確かな根拠を持って診断し処方すべきです。確かにウイルス性の風邪の後に細菌感染を合併することがあるみたいですが、予防のために抗生剤を飲んでも特に意味はないと分かっています。ですので安易に抗生剤(抗菌薬)を服用してはいけないと思います。
なぜ風邪⇒抗生剤 という間違った流れが浸透しているのか?
ある調査では風邪には抗生剤が効くと信じている人が約4割いるみたいです。昔はそれが一般的な治療だったみたいですね。厚生労働省「抗生物薬適正使用の手引き第一般」より諸外国と比べて日本の経口の抗生物質の使用量が多いと報告されています。
抗菌薬服用によるデメリットは?
腸内細菌のバランスが崩れて下痢になることがあります。しかもたった一回の使用で腸内細菌の1/3が死に、回復するのに半年以上もかかるとある実験で言われています。そして一番怖いのが細菌の耐性化。抗菌薬にさらされることで細菌が変化し、薬に対して耐性を獲得してしまいます。そうなったら厄介でできればそれを避けたい。
以上のことをふまえて風邪で医療機関を受診して抗生物質出されたら、こういいましょう。「ほんとうにその薬必要ですか?」