今シーズン本格的に活躍するであろう抗インフルエンザ薬が新薬で登場しました。それが、ゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)
メリット
- 治療が一回内服で済む
- 既存の抗インフルエンザ薬の作用機序とは違う
- タミフルと比較して抗ウイルス作用が優位に高い
- A型,B型のインフルエンザに効果あり
- 副作用が少ない
内服1回だけなのは患者にとってはかなりありがたいですよね。作用機序違うのでタミフルに耐性を獲得したウイルスにも効きそうな予感です。A、B型のどちらにも効きます。まあ、それはほかの薬の同じですが……
タミフルとの比較
タミフルだと1日2回5日間服用しなければならず、結構飲み続けるのしんどいですがゾフルーザ1回のみでOK。
ゾフルーザ群(単回投与)vs タミフル群(1日2回5日間投与)の臨床試験では
- インフルエンザの罹患期間の短縮は同じくらい
- 副作用はゾフルーザ群が有意に低い
- ウイルス排出期間の短縮はゾフルーザ群が優越性
主な抗インフルエンザ薬の作用機序(塩野義製薬プレスリリースより)
タミフルはノイラミニダーゼ阻害しウイルスが細胞から出ていかないようにする作用。(インフルエンザウイルスが細胞から出ていくときにノイラミニダーゼ必要)
ゾフルーザは上記のCapエンドヌクレアーゼ阻害のため、ウイルス増殖の早い段階でブロック。
デメリット
- 使用成績などのデータ少ない
- 薬価が高い
- アミノ酸変異株出現の副作用
従来より審査期間を短くして早期の実用化を目指す「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定され、申請からなんと4ヶ月で承認となりました。そのため、使用成績のデータが乏しく、今後新たな副作用が出てきそうです。データが少ないために処方に二の足を踏む医者もいるのだとか。そしてなにより薬価が高い!1回投与とはいえ、ゾフルーザ40mgの薬価4789円、一方のタミフル5日分の薬価2720円。タミフルの1.76倍のお値段です。あと心配なのがアミノ酸変異株!アミノ酸変異株とは、まあ簡単に言うとウイルスが増殖するときにちょっと違うウイルスに変わるということ。このちょっとした変化でゾフルーザの効果が50倍低下するとの報告もあります。ただまだこのアミノ酸変異が臨床現場でどのような影響をあたえるのかは不明で、これから分かってくるのだと思います。
自分はまだインフルエンザに感染して寝込んだことがなく、インフルエンザの苦しみを味わったことがありません。もし感染したらお値段は高いですが、服用してみようと思っています。