『お薬はジェネリック医薬品にしますか?』
「ジェネリック医薬品ってなんですか?」
『ジェネリック医薬品とは先発医薬品と同じ有効成分ですが、特許が切れて他のメーカーが製造しているため安くなっている薬です。ジェネリック医薬品をお勧めしていますが、いかがしますか?』
「じゃあ、それにしてください!」
こんなやり取り何百回としました。
転職後の研修でもジェネリック医薬品を勧めるように言われましたが、その理由は特に教えてくれません。しかし働いているとその理由は分かってきます。
今回はジェネリック医薬品とはなんぞやということと、勧めることで得られる薬局のメリットをお伝えします。
ジェネリック医薬品とは何か?
上記の通り特許切れで安くなった医薬品のことです。
新薬の開発は9~17年かかり200~300億円の費用を要します。薬の特許は20~25年と限られているのでその期間内に利益がでるように価格が設定されています。
一方、ジェネリック医薬品は特許切れの薬の基礎調査と製造研究から始まります。開発費は数千万円。承認を得るための審査が先発品より簡単なので3~5年しかかかりません。
薬を開発する時間とお金が先発品と比べてかからないので安くできるというわけです。
ジェネリック医薬品にすることのメリット
患者様にとってのメリットの一番は薬代を安くできることです。また先発品よりも飲みやすく改良した薬もあります。例えば、先発品では苦い足の薬も、味を変えて飲みやすくしたり、錠剤が大きくて飲みづらい薬を小さくしたりと改良されています。
国にも医療費を削減できるというメリットがあります。日本の薬剤費総額が約6兆円で医療費全体の約20%を占めています。これは欧米に比べてかなり高い比率です。この比率を下げようと国はジェネリック医薬品を推奨しています。国は2020年にはジェネリックのシェアを80%を目標としています。それによって約2兆円の薬剤費削減につながるとされています。
ジェネリック医薬品のデメリット
先発品とジェネリック医薬品は全く同じかということを聞かれます。答えは完全に同じではありません。げんに厚生労働省の説明は同一ではなく同等という言葉を使っています。
一般的なジェネリック医薬品の場合は、有効成分が同じでも添加物や製法が違います。
ので吸収や分解の速度に違いが出るので、先発品に比べて効かなかったり効きすぎたりすることがあります。
なぜこのような違いがあるのか?理由はジェネリックを販売・製造できる条件にあります。
薬の特許は大きく4種類あります。
①物質特許 ②用途特許 ③製法特許 ④製剤特許
③、④の特許が切れていなくても①と②が切れていれば、ジェネリック医薬品を作ることが出来ます。
ちなみに③は物質の新しい製造方法に与えられるもので、④は調剤するうえでの工夫に与えられるものです。有効成分は同じにできても薬の作り方や添加物に違いがでてきます。
例えば、ホットケーキを作るとします。同じホットケーキミックスの粉を使ったとしても同じ味になるとは限りませんよね。人によって焼き方や牛乳の量に違いがあるからです。
ジェネリック医薬品で得られる薬局のメリット
薬局がジェネリック医薬品をより多く出すと国からご褒美が貰えます。それが「後発医薬品調剤体制加算」です。ジェネリック医薬品をたくさん出している薬局は理想的な体制が整っていると判断されます。
一般の方はなんだこれと思うでしょう。ようは薬局は薬を出すときにかかる手数料を高くできるということです。
そもそも、処方箋でのお薬代は薬そのものの値段だけではありません。ここでは詳しく言いませんが、薬の価格と薬局でのいろいろな手数料が合わさって最終的な値段になります。
今だとジェネリック医薬品の比率が75%以上だと180円、80%で220円、85%で260円の手数料が入ります。
1枚の処方箋にたった百円単位の手数料ですが処方箋枚数が多くなると結構な金額になります。
より高い手数料を設定するために薬局は必死でジェネリック医薬品を勧めています。
まとめ
ジェネリック医薬品を出すと薬局は利益が上がるので、薬剤師は結構勧めてきます。純粋に患者さまのためかというとそうでもないですね。
中にはジェネリック医薬品にするかどうかも聞かずに、勝手にジェネリックで調剤する薬局もあるのでみなさん注意してください。